SEOに強いオウンドメディアを作るための準備事項と手順を紹介

オウンドメディアとは、自社が運営しているメディアの総称です。企業の公式サイトはもちろん、ブランドサイトや商品サイト、広義では会社案内パンフレットなどの紙媒体もオウンドメディアに含まれます。ウェブ上でオウンドメディアを活用するためには、SEOを意識したサイト作りが不可欠です。SEOに強いオウンドメディアは検索エンジンからの流入数増加や認知拡大が期待できます。 そこで本記事では、SEOに強いオウンドメディアを作るための方法について、前準備と手順に分けて解説します。

SEOに強いオウンドメディアを作るための準備

オウンドメディアを作るうえで欠かせないのが前準備です。ウェブサイトの方向性をブレさせないためにも、まずは下記の3つの事項を決めましょう。

準備1.メディア運用の目的を明確にする

オウンドメディアの方向性や内容を決めるうえで基準となるのが、運用目的です。企業が自社でウェブサイトを立ち上げる目的は、主に次の4つがあげられます。

・ブランディング
・見込み顧客の獲得
・商品やサービスの販売
・人材の確保

 

企業やブランド、商品やサービスの認知拡大に、オウンドメディアの運用は効果的です。検索順位で上位表示されるようになれば、「あの商品ならこの企業」とイメージを定着させるだけではなく、信頼度の向上にもつながります。オウンドメディアによるブランディングと継続的な情報発信は、見込み顧客の獲得も期待できます。

仮に特定の商品やブランドを目的としていなくても、化粧品メーカーが「急にできたニキビを早く治したい」「乾燥対策方法を知りたい」などのユーザーの要望に応える記事を掲載していれば、検索結果からオウンドメディアへの流入や自社商品・サービスの認知や購入につなげることが可能です。

また、オウンドメディアには、求人サイトや求人ページも含まれます。オウンドメディアで自社の特色を伝えつつ求人ページで具体的な募集内容を提示すれば、企業理念やカラーに共感した人材からの応募が集まりやすくなります。

何を目的とするかで運用方針は大きく異なるため、まずは上記のうちどのような効果を期待するか、何をゴールとするか明確にしておきましょう。

準備2.内製・外製どちらにするか決める

オウンドメディアの目的を決めたら、次は誰が構築・運用するかを決めます。具体的には、内製化を進めるか外部の専門会社へ委託するかです。

内製と外製それぞれのメリットは、下記のとおりです。

内製した場合のメリット 外注した場合のメリット

・外注費をカットできる

・社内にノウハウが蓄積される

・分析データを残せる

・自社に専門人材を雇用する必要がない

・外注費だけで済む

・効果的な施策を最初から導入できる

内製する場合、WebマーケティングやSEOへの理解がある人材を中心に社内チームを立ち上げます。継続的に安定した運用を行うためにも、内製化する場合は専用チームや部署の立ち上げを前提として検討することが重要です。

内製化すれば外注費の削減はもちろん、運用データやノウハウの蓄積もでき、自社の将来的な財産となります。

一方、外部に依頼する場合は、責任者を1名確保するだけで、進められることがほとんどです。オウンドメディアの構築からコンテンツ(記事)の制作まで外部に委託できるため、運用中の人材は最小限に済みます。

自社で構築すると、複数名の人材を確保する必要があります。そのため採用活動におけるコストもかかるでしょう。外部に委託することで、人件費を抑えながら一定のクオリティを担保できるので外注もおすすめです。

運営目的や社内リソースの状況を加味して、慎重に判断することが大切です。

準備3.SEOメディアの運用方法を決める

内製化するとしても、HTMLやCSSのマークアップ言語で作成するのか、CMSを利用するのかで難易度は大きく変わります。

仮にウェブサイトの骨組みだけ専門会社に任せるとしても、その後の更新作業が社内で確実にできるのか(HTMLなどを編集できる人材はいるのか)などの問題が生じます。

■メンテナンスしやすいCMSがおすすめ

内製・外注のどちらを選ぶとしても、おすすめはメンテナンスしやすいCMSでの運用です。

CMSとは

CMS(Contents Management System)とは、ウェブサイトの画像やテキスト、テンプレートなどを一元管理できるシステムです。保存した画像やテキストを自動でテンプレートに当てはめて、ウェブサイトを生成してくれます。

 

たとえば、「ウェブページのテキストを1行編集」する作業について、従来のHTML方式と比べても、CMSは簡単に作業ができます。

・HTML:ページ個別のHTMLファイルを編集する必要がある
・CMS:管理画面からテキストを編集すれば良い

HTMLは、編集する度にファイルをFTPソフトでサーバーに送信する作業も必要です。一方のCMSは初心者でも手軽に編集できます。

近年は、オウンドメディアの運用ツールとして定番となっている「WordPress」もCMSに分類されます。

ログイン情報を共有すれば作業を複数の担当者や外注先と分担できる点が魅力です。

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SEO対策を施したオウンドメディアの作り方

CMSをうまく利用すれば、SEOに強いウェブサイト作りができます。よりSEOに強いオウンドメディアを作るためには、CMSのシステムに頼りきるのではなく、意識的に施策を取り入れることが重要です。

SEO対策を施したオウンドメディアを構築する手順は、次の5ステップです。

対策1.モバイルでのユーザビリティを優先する

オウンドメディアを作成するときは、モバイル端末(スマートフォンやタブレットなど)のユーザビリティを優先することが効果的です。

総務省が発表している『情報通信白書』によると、2021年時点で情報通信機器の世帯保有率は、下記のとおりでした。(参考:総務省「情報通信白書令和4年版」)

・スマートフォン:88.6%
・パソコン:69.8%

以前はパソコンが通信機器の代名詞ともいえましたが、近年はスマートフォンが主流となっています。そのため、オウンドメディアもパソコン閲覧のみではなく、スマートフォンからのアクセスを想定した構造作りが不可欠です。

たとえば、パソコンのみに適応したサイトをスマートフォンで閲覧すると、サイトデザインがそのまま反映されるため、文字やボタンが小さく表示されます。パソコンの画面サイズに合わせて作成されたデザインが、スマートフォンの小さな画面サイズに合わせて自動で縮小されるためです。

スマートフォンでウェブサイトを閲覧するユーザーをリピート訪問や購入・資料請求などのコンバージョンにつなげるためには、文字やボタンが適切なサイズで表示されるよう設定しなくてはなりません。

他にも屋外での閲覧を想定したコントラスト調整を行うなど、文字サイズ以外のデザインも考慮しましょう。

対策2.カテゴリーとタグの構造を設計する

ユーザーがスムーズに他のページも閲覧できるよう、カテゴリーとタグの構造も適切に設計する必要があります。

カテゴリーとタグの違いは、下記のとおりです。

・カテゴリー:縦の構造にもとづいたページの分類
・タグ:同じグループのつながり

カテゴリーは、ウェブサイトの縦の構造です。親カテゴリーの下に複数の子カテゴリーがある、というように上下の階層構造となっています。

たとえば、化粧品メーカーがウェブサイトを作成するとき、「スキンケア」「コスメ」などカテゴリーを複数設けたうえで、それぞれ記事を増やしていきます

カテゴリーを正しく分けていると、関連性の高いページを「関連記事」として内部リンクしたりサイト構造を整理したりと、ユーザーの利便性を向上させられます。

一方のタグは、縦の構造に関係なく分類できる、同じグループのつながりです。カテゴリーは1つの記事に対して1つしか設定できませんが、タグは複数設定できるのが大きな違いです。

化粧品メーカーが「クレンジング」に関する記事を作成するとき、カテゴリーは「スキンケア」の設定しかできませんが、タグは「商品名」や「クレンジング」「テクニック」など複数設定できます。

ウェブサイトを作成したばかりで質の高いカテゴリーを設定できないときは、質の低い部分のみnoindex設定を活用して、インデックスされないようにする方法もおすすめです。

対策3.ディレクトリ構造はシンプルにする

ディレクトリ構造は、可能な限りシンプルにまとめることが重要です。

ディレクトリとは

各種ファイルを取りまとめているフォルダのようなもので、コンテンツまでの階層構造を指します。

 

ウェブサイトのトップページから移動できる「会社概要」「取扱商品」「リクルート情報」などの各ページもディレクトリの一種です。

ディレクトリ構造は検索エンジンからの評価に直接影響するわけではありませんが、ユーザーの利便性を考慮するのであれば、可能な限りシンプルに設計する必要があります。

ユーザーが今どこのページを閲覧しているのかわかり、最小限のクリックやタップで目的のコンテンツへ移動できるディレクトリ構造は、ユーザーの利便性を高めるために不可欠です。検索エンジンのクローラーもウェブサイト内を巡回しやすくなり、正しく評価できます。

対策4.robots.txtでクローリングをコントロールする

ウェブサイト全体の評価を上げるために必要な作業のひとつが、robots.txtによるクローラー巡回のコントロールです。

コンテンツをいくつも作成していると、順位がなかなか上がらない記事も生まれます。品質の低いコンテンツがクローラーにインデックスされた場合、ウェブサイト全体の評価にも影響するおそれがあります。

robots.txtを活用すると、任意のコンテンツに対するインデックスを避けることが可能です。また、サイトマップファイルの存在をクローラーに伝える役割もあります。※ただし、すべてのrobots.txtにクローラーが従うとは限りません。

対策5.必要な構造化データを設置する

構造化データとは、検索エンジンのクローラーにウェブページの構造を伝えるための専用コードのことです。必要な構造化データを正しく設定することで、検索エンジンがウェブサイトの構造をより理解してくれるようになります。

設置すべき構造化データは、記事、パンくずリスト、ハウツーの3種類です。

■記事に関する構造化データ

記事に関する構造化データには、Article、NewsArticle、BlogPostingの3つがあります。

自社サイトのスタイルに合ったものを選び設定します。WordPressなどのCMSを利用している場合は手動で設置するよりも、プラグインを使用したほうが手軽に適用できることもあります。

■パンくずリストの構造化データ

パンくずリストとは、ウェブサイトを訪れたユーザーが今どこのページを閲覧しているのか分かりやすくした表示のことです。

たとえば、ユーザーがウェブサイトのトップページから会社案内へ進み、会社概要ページを閲覧しているとき、下記のように表示されます。

トップページ>会社案内>会社概要

パンくずリストは複数の種類があります。それぞれの特徴は、下記のとおりです。

・位置型パンくずリスト:階層構造内のどこにいるか表示する
・属性型パンくずリスト:どのカテゴリー(属性)に属しているか表示する
・パス型パンくずリスト(履歴型):ページへ辿り着くまでの経路を表示する

運営しているウェブサイトに合ったタイプを設置すると、クローラーの巡回もスムーズになります。

■ハウツーの構造化データ

ハウツーとは、とあるタスクを完了するまでの手順や注意点などを記載したコンテンツのことです。ハウツーの構造化データを設置すると、該当コンテンツがハウツー系であることを検索エンジンに伝えられます。

検索結果のリッチリザルトに自社サイトの情報が表示されやすくなるなど、よりターゲットユーザーにアプローチできる機会が増えるメリットもあります。

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オウンドメディアに掲載する記事にもSEO対策

オウンドメディアの各記事に対してもSEOを考慮した設定が不可欠です。

ウェブサイト全体の構造が高品質でも、記事単体の施策が不十分であれば、検索エンジンで各ページが上位表示される可能性は低くなります。

記事ごとに意識すべきSEO設定は、次の4つです。

SEO対策1.titleタグやメタ情報を最適化する

まず最適化すべきポイントは、titleタグやメタ情報です。

titleタグとは、ウェブページそれぞれのタイトルを設定するためのタグです。h1と混同されることがありますが、h1はウェブページを開いてはじめて表示される見出しであり、titleタグは検索エンジンの検索結果に表示される点が異なります。

titleタグは狙ったユーザーにアクセスしてもらえるよう、キーワードやサジェストキーワードを盛り込んで作成しましょう。

ポイントは、重要なキーワードはタイトルの前半に入れることです。検索エンジンではタイトルが最後まで表示されるとは限らないため、どのデバイスでも重要な部分が表示されるようにするためには、前半部分にキーワードを盛り込む必要があります。

メタ情報は、<meta name=”description”>で設定するウェブページの解説です。

検索結果でタイトルの下に表示される文章のことで、100〜120文字が適切とされています。メタ情報も狙ったキーワードを入れ、ユーザーが一目で「このサイトなら自分のほしい情報が記載されている」と分かる内容に仕上げます。

また、titleタグもメタ情報もページごとに異なる内容を設定することが重要です。Googleもtitleタグとメタ情報はページごとに設定することを推奨しています。

SEO対策2.canonicalタグでURLの正規化を行う

検索エンジンからの評価を分散させないための対策として、canonicalタグによるURLの正規化も不可欠です。

URLの正規化とは

canonicalタグで評価してほしいウェブページを伝える施策です。

 

複数種類のURLで被リンクされた場合、どのURLを評価してほしいかあらかじめ伝えておくことで、検索エンジンからの評価が分散されるのを防ぎます。

URLの正規化は、ページのヘッダ内(との間)にcanonicalタグで下記のとおり記述します。

たとえば、弊社(未知株式会社)のホームページURLは”https://www.mchs.co.jp/”です。しかし”https://mchs.co.jp/”(wwwがない状態)でもトップページへアクセスできます。

正規化が行われていないままURLが一部異なれば、同じページが表示されても検索エンジンからの評価は異なるページへのアクセスとして判断されることがあります

評価が分散されるだけではなく、場重複コンテンツと判断されペナルティのリスクも生じるため、評価を統合するためのURL正規化が欠かせません。

SEO対策3.各画像にaltタグで説明を記載する

オリジナルの写真やイラストを使用することも、コンテンツの差別化につながります。ただし、画像を掲載したのみではSEO施策としての効果は期待できません。

検索エンジンから評価されるためには、画像にaltタグで「画像の説明」を入れる必要があります。

たとえば、スキンケアページにお手入れ中の女性の画像を表示するのであれば、「化粧水をパッティングする女性の写真」など、具体的な解説をaltタグで記載します。

スタッフ紹介ページに人物の画像を並べるのであれば、「未知ミチ子の写真」など、人物名を入れると画像ごとの差別化ができます。

altタグは検索エンジンへどの位置にどのような画像が掲載されているのか伝えるとともに、ページ読み込みが遅くなっているときユーザーにも画像の内容を説明してくれます。

ただし、ホームページ全体のデザインなどCSSで指定している画像は、alt属性をつけることができません。

CSSで指定していないうえ、検索エンジンに評価してもらいたい(正しく認識してもらいたい)画像に対しaltタグを使用しましょう。

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SEO対策4.アンケートなどの一次情報を集める

オウンドメディアのオリジナリティを高める手法として、アンケートなどの一次情報は効果的です。自社で独自のアンケートをとり、結果を掲載すれば、競合サイトにはない一次情報を提供しつつ自社商品やサービスの訴求にもつなげられます。

アンケートの他、購入者の口コミやインタビューを掲載する方法もおすすめです。近年は無料で利用できるオンラインアンケートツールもあり、コストをかけることなく情報収集できます。

まとめ

オウンドメディアを運営するときは、SEOも考慮することが重要です。たとえば品質の良いコンテンツを作成しても構造が最適化されていなければ、検索エンジンで上位表示されにくくなるおそれもあります。

まずはどのような目的でオウンドメディアを作成するのか、事前準備を徹底的に行うことから始めましょう。