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SEOとは?
SEOとは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略称で、Googleなどの検索結果で自社サイトを上位表示させるための施策のことです。
例えば、お客様が「〇〇 通販」や「△△ 値段」と検索したときに、自社のネットショップが検索結果の上の方に表示されるようにすることで、アクセス数を増やすことを目的とします。
Web広告費をかけずに、検索から見込み顧客を自然に集められるため、長期的に売上アップにつながる集客方法として、多くのネットショップ(EC)事業者が取り組んでいます。
ネットショップ(EC)にSEO対策が必要な理由
経済産業省が公表した「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によると、2023年の物販系EC市場規模の成長率は前年比4.83%と、2022年の5.37%から鈍化し、2018年以降で最も低い増加率となりました。
市場が成熟しつつある中で、これまでのような右肩上がりの成長は見込みづらく、新規顧客の獲得や既存顧客の育成に向けた、より戦略的な取り組みが求められています。
今後のネットショップ(EC)事業者は、「今すぐ買う人」だけを狙うのではなく、「将来買う可能性のある人」との接点を先に作ることが生き残るために必要な戦略です。
なかでもSEOは、今すぐの購買行動だけでなく、比較・検討段階のユーザーとの関係を育てていける貴重な集客手段です。中長期的に安定した売上を目指すうえでは、広告と併用しながらSEOにも注力することが、より効果的な戦略と言えます。
出典:令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
潜在層との接点を作れる
先述のとおり、今後のネットショップ(EC)では、「今すぐ買う人」だけを狙うのではなく、「将来買う可能性のある人」との接点を先に作ることが生き残るために必要な戦略になります。
購入意欲が高いユーザーは、すでにAmazonや楽天などの大手モールで商品を探し、そこで購入を済ませてしまうことが多くあります。
一方で、「ギフト 選び方」や「加湿器 比較」などのように、商品をまだ決めていない人たちはGoogleなどの検索エンジンで調べる傾向があります。
こうしたユーザーに向けて、自社サイトで「選び方のポイント」や「おすすめ商品の紹介」などの記事を用意すれば、購入前のタイミングで接点を持ち、信頼を築きやすくなります。
広告よりも自然に受け入れられる
SEOと同様にユーザーの獲得に有効なリスティング広告は「広告」と明記されるため、クリックが避けられる傾向があります。
一方、SEOコンテンツは自然な検索結果として表示されるため、広告色が薄く受け入れられやすいのが特徴です。
長期的な集客基盤になる
SEO対策はすぐに効果が出るわけではありませんが、一度検索順位が上がれば、広告費をかけなくても継続的にアクセスを集めることができます。
例えば、「熱中症 対策グッズ」や「クリスマス ギフト」など季節やイベントに関連するキーワードは、毎年繰り返し検索されるため、1本の記事が長く活躍してくれるのも大きな魅力です。
【代表例】ネットショップ(EC)に効果的なSEO対策
ネットショップのSEO対策の種類は、以下の3つに分けられます。
・サイト全体のSEO対策でシンプルなサイトにする
・商品ページのSEO対策で魅力が伝わるページにする
・コンテンツSEOで見込み顧客を獲得する
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
サイト全体のSEO対策で「シンプルなサイトにする」
ネットショップは商品数やカテゴリが多いため、サイト構造が複雑になりがちです。検索エンジンに正しく評価されるためには、分かりやすく整理されたサイト構造が重要です。
特に、検索エンジンのクローラーやユーザーがサイト内をスムーズに巡回できるよう、導線を整えることが大切です。主な対応ポイントは以下の通りです。
主なSEOのポイント | 詳細 |
ディレクトリ構造を整理する | ・商品カテゴリーとサブカテゴリーを整理して、ユーザーが欲しい商品に簡単にアクセスできるようにします。 ・カテゴリは直感的に分かる名称で、ジャンルごとにわけると良い(例:アパレルなら「レディース」「メンズ」「キッズ」など) |
パンくずリストを設置する | ・ユーザーがサイト内を簡単に移動できるだけでなく、検索エンジンにもサイト構造を理解させることができます。 ・「トップページ」>「商品カテゴリ」>「シリーズ名」>「商品名」など |
URL構造の最適化 | 商品ページのURLは、短く、わかりやすく、関連するキーワードを含むことが望ましいです。例えば、商品の特徴やカテゴリを反映させたURLを作成すると、検索エンジンにとっても有益です。 |
サイトのモバイル対応 | Googleのモバイルファーストインデックスに対応するため、レスポンシブデザインを採用し、モバイルでの閲覧や購入が快適に行えるようにすること。 |
上記のような施策を実施することで、SEO効果が高まるだけでなく、ユーザーの利便性向上にもつながります。サイトが使いやすく、目的の情報に素早くアクセスできるようになることで、ユーザーの満足度が向上し、再訪問や購入意欲の増加が期待できます。
商品ページのSEO対策で「魅力が伝わるページにする」
商品ページは、ユーザーに商品の魅力を的確に伝える設計と内容が重要です。検索エンジンは、ユーザーの検索意図に合ったページを評価するため、情報が充実したページほど上位に表示されやすくなります。
主な対応ポイントは以下の通りです。
主なSEOのポイント | 詳細 |
商品ページの最適化 | 商品名、説明文、メタディスクリプションに関連するキーワードを適切に盛り込み、ユーザーにとって魅力的なページにします。 |
タイトルタグを最適化 | ・商品名や型番だけでなく、クリック率の向上につながる魅力的な要素も入れる ・「送料無料」「大きいサイズ対応」「プロ仕様」など |
重複ページを整理・統合 | ・色やサイズ違いなどの商品をそれぞれ別のURLにわけて紹介しない ・選択式にして1ページに統合すれば、ユーザーの混乱や検索エンジンによる評価の分散を防げる |
ページ読み込み速度の改善 | ・ECサイトは画像や動画などの重い要素が多く、読み込み速度が遅くなりがちです。サイトの読み込み速度を最適化しましょう。 ・画像圧縮、キャッシュの利用、遅延読み込みなど |
競合サイトの商品ページも参考にし、商品名や特徴、サイズ、価格、レビューなど、ユーザーが購入を決めるために必要な詳細情報をしっかりと盛り込むことが大切です。
コンテンツSEOで「見込み顧客を獲得する」
コンテンツSEOとは、検索エンジンで上位に表示されるために、ユーザーの検索意図に応える質の高いコンテンツを作成・最適化する施策です。一般的には、企業が保有するオウンドメディア内にSEO記事としてコンテンツを追加し、対策キーワードに関連する情報を発信することで、検索結果での順位向上を目指します。
ネットショップの商品ページは、型番やスペックなどの情報が中心で構成されることが多く、検索ユーザーが直接商品名を指定してアクセスするとは限りません。
そこで効果的なのが、ユーザーの悩みに寄り添ったコンテンツを用意することです。例えば、家電を扱う場合、「共働き 掃除 時短」や「家事 疲れた 解決法」といったキーワードは、まだ具体的な商品を決めていないユーザーが検索することが多く、競合が比較的少ない傾向にあります。
この段階のユーザーに対して価値のある情報を提供することで、サイトへの信頼が得られ、購買意欲を高めることができます。具体的な施策の例は以下の通りです。
具体的な施策の例は以下の通りです。
主なSEOのポイント | 詳細 |
検索意図からキーワードを選定する | ・ユーザーが検索しやすいキーワードをターゲットにした記事を作成 ・「〇〇(商品ジャンル) 選び方」「〇〇 安く買う方法」など、悩みベースのキーワードを軸に記事を展開する |
オリジナリティのあるコンテンツ | ・競合サイトと同じような内容では、検索エンジンはそれらのページを差別化しづらくなります ・例えば、単に商品のスペックや価格だけでなく、商品の使用シーンやユーザーのレビューを基にした独自の視点を加える |
こうした検索意図に応えるコンテンツを作り続けることで、ユーザーにとって有益な情報を届けることができ、検索エンジンからの評価が向上します。
ネットショップ(EC)におけるSEO対策の成功事例
SEOを用いてネットショップ(EC)のWeb集客を成功させた事例として、株式会社桃屋が運営するレシピサイト「暮らしのクリップ」があります。
同サイトは、桃屋商品を使ったオリジナルレシピ「かんたんレシピ」への流入増加を目的に立ち上げられました。記事内では、お弁当やおつまみなど、テーマごとにレシピを紹介しています。また、「お花見弁当」や「ハロウィンパーティーのおつまみ」など、季節のイベントや流行をテーマにしたレシピも紹介しています。
サイト名 | 暮らしのクリップ |
目的 | ・レシピサイト「かんたんレシピ」への流入拡大 ・自社商品の認知向上 |
主なコンテンツ | ・桃屋商品を活用したテーマ別レシピ(例:お弁当/おつまみなど) ・掃除・洗濯の時短術や便利グッズの紹介 |
成果 | ・2023年11月の実績で月間アクセス数20万超 ・「かんたんレシピ」への流入は月間約2万件 |
「お客さまに多くのコンテンツに触れていただき、根強いファンになってもらいたい」という想いのもと、SEOを活用してコンテンツを継続的に強化しました。その結果、料理専門サイトを上回る検索順位を達成した記事が生まれ、自社商品の認知度拡大に大きく貢献しています。
出典:「かんたんレシピ」のアクセス急増!商品の魅力を伝えるコンテンツ作りでファン層の拡大に成功
まとめ
ネットショップ(EC)におけるSEOは、ユーザーを検索から呼び込み、信頼を築いて購買につなげる重要な施策です。検索意図に合った情報発信を続け、コンテンツの内容を改善することで、検索流入の増加やブランド信頼の向上といった成果を期待できます。まずは、自社ならではの視点で「ユーザーの悩み」に焦点を当てて取り組んでみましょう。