SEOはマーケティングの“縁の下の力持ち”に!別施策との違いや相乗効果を紹介

SEOを用いたマーケティングは、検索エンジンに最適化されたコンテンツとウェブサイトを通じて、ユーザーにアプローチし、Web集客力を高めるための戦略です。これにより、ターゲット市場にリーチし、トラフィックを増やし、最終的には売上や顧客獲得に結びつけることができます。

SEOがマーケティングに与える影響

そもそも、SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、自社のウェブサイトを検索結果の上位に表示させるための方法や施策のことを指します。

具体的には、ユーザーが特定のキーワードで検索したときに、自社のサイトがより上位に表示されるよう、サイトの構造やコンテンツを改善する取り組みのことです。

検索順位は検索エンジンが独自のアルゴリズムで決めており、マーケティング担当者はそのアルゴリズムの傾向を理解しながら、順位を確認し、必要に応じて調整を行っています。

検索エンジン経由の流入数の増加

マーケティング活動の多くは「集客」を起点として成り立っています。広告やSNSなどを活用して一時的な流入を得ることはできますが、長期的な成果を得るためには、安定した流入経路の確保が不可欠です。

検索されやすいキーワードを分析・選定して上位表示ができれば、自社を知らない幅広いユーザーとの接点を作れます

検索エンジン経由で集まるユーザーは、能動的に情報を集めている層です。悩みの解決策に加えて、有益な関連情報を含むコンテンツを提供できれば、ユーザーからの信頼を獲得でき、自社への興味を引き出すきっかけとなるでしょう。

また、検索結果に表示される順位によって、サイトへの流入量は大きく影響を受けます。

Googleの検索ランキング クリック率
検索1位 39.8%*
検索2位 18.7%**
検索3位 10.2%
検索4位 7.2%
検索5位 5.1%

出典:Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2025|First Page Sage

※スニペットの場合 42.9%、AI オーバービューの場合 38.9%
※※スニペットの場合 27.4%、AI オーバービューの場合 29.5%

海外のFirst Page Sageという会社が2025年に実施したGoogleの順位別クリック率の調査によると、検索1位は39.8%であるのに対して2位は18.7%、3位は10.2%と差があります。

Googleの評価基準を把握し、SEOで検索順位を上げる施策を講じることが大切です。

購買プロセスの段階に応じてアプローチする

SEO施策は、上位表示を狙うキーワードや記事コンテンツによって、ユーザーの購買プロセスごとにアプローチできます。このように、購買の各段階に応じたコンテンツを用いてユーザーにアプローチするマーケティング手法をコンテンツマーケティングとも呼びます。

SEOに特化したコンテンツマーケティングでは、情報収集、比較検討、購入などの購買プロセスの各フェーズに応じて、適切なコンテンツを検索エンジンを通じて提供し、ユーザーのニーズに合わせた価値ある情報を届けます

ユーザーが検索エンジンを通じて求めている具体的な情報をピンポイントで提供し、各購買段階での最適なアクションを促します。

以下は、カスタマージャーニーマップと呼ばれるユーザーの検索行動に合わせたコンテンツ例を整理する図解です。

各段階におけるユーザーの行動パターンや感情などに着目してキーワードを選定し、見込み顧客を集めて購買意欲を高めます。

例えば、情報収集フェーズでは、どのような商品・サービスがあるのか知りたいユーザー向けのキーワードとして「〇〇 とは」「〇〇 方法」などがあります。

一方、比較検討フェーズでは、複数の選択肢のなかから自分に合うものを見つけたいユーザーに向けて「〇〇 選び方」「〇〇 比較」などのキーワードが考えられるでしょう。

キーワード選定次第で、自社事業に合った特定の悩みや課題を持つターゲットを狙って集客できます。

例えば、情報収集フェーズでは「〇〇 とは」や「〇〇 方法」といったキーワードをターゲットにしたコンテンツを提供し、ユーザーが基本的な情報を得られるようにします。

比較検討フェーズでは、製品やサービスを他の選択肢と比較するための「〇〇 比較」や「〇〇 選び方」のコンテンツを通じて、ユーザーが自分に最適な選択を見つけられるようサポートします。

SEOはマーケティングにおける「縁の下の力持ち」

SEOは、マーケティング施策の中で直接目立つ存在ではありません。しかし、リスティング広告やSNSが瞬間的な話題や短期的な流入を生む「表舞台の施策」であるのに対し、SEOは地道な積み重ねによって長期的な成果を支える存在です。

近年のAI オーバービューやAIモードなど、新しい検索技術が進化する中でも、SEOは依然としてマーケティングにおいて非常に重要な役割を果たしています。

特に、広告やSNSからの流入ユーザーが商品名などの関連ワードを検索した際、SEOで上位表示されているかどうかで成約率が大きく左右されます。

また、SEOに特化したオウンドメディアの記事で上位を獲得しておくことで、広告費をかけずとも安定した集客基盤を作れるのが大きな強みです。

広告は予算が尽きれば配信が止まり、一時的な集客で終わることも多い一方で、SEOで上位表示を獲得した記事は、24時間365日検索エンジン上でユーザーに見つけてもらえる「資産」として機能します。

ユーザーの課題解決や商品・サービス選びに直結するキーワードで上位を取れていれば、広告に頼らずとも、必要なタイミングで必要な情報を届け、見込み顧客の獲得につなげられます。

このようにSEOは、他施策の効果を最大化し、持続的な集客を可能にする「縁の下の力持ち」として、マーケティング全体を支える役割を果たしているのです。

マーケティングに活きるSEOの具体的な手法

SEOを用いたマーケティングとは、検索エンジンでのランキング向上を目的とした戦略的な施策のことです。具体的には、ウェブサイトやコンテンツを最適化し、検索エンジン(主にGoogle)での検索結果において上位に表示させることを目指します。

ここでは、より具体的な流れについて解説します。

キーワード調査

目標市場が検索している言葉やフレーズ(キーワード)を調査します。これにより、ターゲットユーザーのニーズや関心を把握できます。

コンテンツ制作

キーワードに基づいて、検索意図に沿ったコンテンツを作成します。ブログ記事、ランディングページ、製品説明ページなどが含まれます。

オンページSEO

コンテンツ内でキーワードを効果的に使用するだけでなく、ページタイトル、メタディスクリプション、URL構造、内部リンクなどを最適化します。

オフページSEO

他のウェブサイトからのリンク(バックリンク)を増やすことが重要です。質の高い外部リンクを獲得することで、検索エンジンからの信頼を得ることができます。

テクニカルSEO

サイトの読み込み速度やモバイル対応、サイトのインデックス化など、検索エンジンがサイトを適切にクロールできるように技術的な側面を最適化します。

ユーザー体験(UX)の改善

サイト訪問者が快適に利用できるように、ナビゲーションやデザインを改善します。これにより、滞在時間や直帰率(Bounce Rate)を減らし、SEOに良い影響を与えることができます。

ほかのマーケティングとの違い・関係性

SEO以外のマーケティング施策にはそれぞれ強みがあるため、SEO単体ではなく全体施策と連携させることで、効果を最大化できます。そこで、SEOと相性の良いマーケティング施策を詳しく紹介します。

代表的な施策の内容やSEOとの関係性をまとめると、以下のとおりです。

施策名 内容 SEOとの違い SEOとの関係性
リスティング広告 検索結果に広告を表示させる 成果が出るまでのスピードが早い 広告データをもとにキーワードを選定し、SEOに活かす
ディスプレイ広告 ウェブメディア上で画像や動画などの広告を表示させる 視覚的要素で集客力を強化しやすい 潜在層にアプローチしてサイトへの訪問を促進
SNS運用 SNSに自社や商品情報を投稿する 拡散力が高く、かつ無料で始めやすい サイトの拡散によりサイテーションの増加が見込める
メールマガジン メルマガやステップメールでターゲットにアプローチする ユーザーと定期的に接触できて信頼を獲得しやすい SEOで見込み顧客を獲得し、メルマガで育成する
ウェビナー ウェブ上で行うセミナーで顧客を獲得する 見込み顧客を育成して、成約につなげやすい SEOでウェビナー参加を促し、商品・サービスを訴求
プレスリリース メディア関係者に向けて自社の情報を知らせる 第三者メディアとして信頼性が高い情報と認知される メディア掲載により被リンクやサイテーションの増加

SEOと組み合わせることで相乗効果を生み出すマーケティング施策の例について、より具体的にみていきましょう。

SEOとウェブ広告を組み合わせて集客を強化する

SEOとウェブ広告を組み合わせると、それぞれの強みを活かしてサイトへの集客をさらに強化できます。

サイトに十分なコンテンツが蓄積されてSEO評価が上がるまでには、6カ月から1年程度かかる場合があります。短期的な集客に役立つウェブ広告との連携により、SEOの成果が出るまでの間を補完しつつ、そのデータをSEO戦略に活かすことも可能です。

例えば、リスティング広告で効果を測定し、流入数やコンバージョン数の多いキーワードを把握できれば、自社に最適なキーワードでSEOコンテンツを制作できます。よりターゲットユーザーに合ったコンテンツを制作できれば、効果的なマーケティング戦略につなげられるでしょう。

SEOとメルマガ・ウェビナーを組み合わせて成果につなげる

SEOとメルマガ・ウェビナーを組み合わせると、顧客エンゲージメントやコンバージョン数の向上が見込めます。

SEOは集客には強いものの、ユーザーを最終的な購入や契約まで導く観点では他施策に劣る場合があります。そのため、見込み顧客との信頼関係を強化できるメルマガやウェビナーとの連携が効果的です。

例えば、SEOで「MAツールとは」というキーワードで集客し、サイト内に「無料教材プレゼント」「導入事例」など関連するメルマガ登録フォームを設置します。

見込み顧客に役立つ情報を定期的に配信してユーザーの購買意欲を高め、最終的にコンバージョンにつなげます。

また、自社サイトにアクセスしたユーザーに対し、MA活用法や導入検討のポイントなどに関するウェビナーの開催を告知する方法も有効です。ウェビナーで双方向のやり取りを通じて深い情報を提供すれば、購買意欲を高められます。

こうした複数の施策を連携させるノウハウや経験が不足している場合は、対応可能な専門会社への外注を検討するのも良いでしょう。

まとめ

SEOはコンテンツマーケティング施策の一部であり、認知度向上や見込み顧客の獲得に有効な手法です。成果が出るまでには時間がかかる場合があるものの、対策するキーワード次第で自社事業に合ったターゲットを狙って集客できます。

SEOは単体ではなく、ほかのマーケティング施策と連携することでSEOだけでは得られない効果が見込めます。他施策との関係性を把握して組み合わせれば、より効果的な集客やコンバージョンの獲得につなげられるでしょう。