そもそもリードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、日本語で見込み顧客の育成を意味します。自社の商品やサービスに興味を持った見込み顧客に対して、有益な情報を段階的に届けながら興味関心を高めて、最終的な購買に繋げる手法のことです。
従来のBtoB営業では、テレアポや展示会などを用いて直接売り込むアプローチが主流でしたが、多くの人手が必要なため、接触できる顧客数にも限界がありました。
一方、リードナーチャリングでは、潜在顧客に対していきなり営業をするのではなく、メルマガやLINEなどのオンライン上から情報発信を行い、段階的に見込み顧客との接点を築いていきます。
情報提供を通して、自然に商品・サービスへの興味を育てて、購買というコンバージョンへ導くことができます。
リードナーチャリングにおけるKPIの重要性
それでは、なぜリードナーチャリングにKPIを設定することが大切なのでしょうか。KPIを明確にすることで、最終目標までの道筋までが見えるようになります。
言い換えれば、KPIを設定していない施策はエビレスト登頂を目指すのに、登山ルートやチェックポイントを決めずに進むもうなものです。特に長い道のりでは、途中で正しく目標に向かえているかを確認できる指標が必要です。
KPIがあれば、進捗を振り返りながら施策を改善したり、状況に応じてルートを修正したりできます。その結果、取るべき行動が明確になり、チームの一人ひとりが目標達成に向けて具体的に動けるようになるのです。
代表的なリードナーチャリングのKPI
実際にリードナーチャリングを実践するうえで、押さえておきたい代表的なKPIを紹介します。ここでは、リードナーチャリングの代表的なチャネル「メール」「電話」「セミナー」の3つに分けて整理していきます。自社の商品・サービスや導線設計に合わせて検討してみましょう。
メールのKPI
1.リスト数
配信対象となるメールアドレスの総数を指します。単に「多ければよい」というものではなく、ターゲット精度とリストの鮮度が重要です。
見込み度の高いリストをどれだけ確保できているかが、リードナーチャリング全体の成果に直結します。
2.開封率
配信したメールがどれくらい開封されたかを示す指標です。
件名の魅力や送信タイミングが大きく影響します。高い開封率は、リードが情報に関心を持っている証拠であり、その後のクリック率・CV率にもつながります。
3.クリック率
メール本文内のリンクをクリックした割合です。コンテンツ内容の訴求力やCTA(行動喚起)の設計が重要になります。
単に開封されたかどうかだけでなく、どれだけ行動に結びつけられるかを測るための指標です。
4.コンバージョン率
クリックした先のページで、資料請求・問い合わせ・セミナー申込など、目的とする行動を完了した割合です。
メールナーチャリングの最終的な成果を測るもので、LPの最適化や導線設計も大きく影響します。
5.配信停止率
メールを受け取ったユーザーのうち、配信停止を選んだ割合です。
コンテンツの関連性の不足や配信頻度の多さが原因となることが多いです。配信停止率が高いとリストの健全性が損なわれるため、内容・頻度の改善が必要です。
電話のKPI
1. リスト数
架電対象となる顧客リストの総数を指します。架電リストも単なる数の多さよりも、ターゲット精度の高さや情報の鮮度が成果を左右します。
業種・規模・役職など、自社サービスに合った条件でリストを構築することが、後続の通電率や商談率に直結します。
2. 架電数
実際にかけた電話の本数です。活動量を示す指標であり、ナーチャリングの「アプローチ実行度」を把握するために重要です。リスト数に対して架電数が少ない場合は、稼働時間や架電効率の改善が課題となります。
3. 通電率
架電した中で実際に担当者と会話できた割合を指します。
通電率=通話につながった件数 ÷ 架電数 × 100(%) |
受付突破のトークや、架電時間帯の調整によって大きく改善します。通電率が低いと、いくら架電数を増やしても成果が上がりにくくなります。
4. 通話時間
1件あたりの平均通話時間を測る指標です。短すぎるとヒアリング不足、長すぎると非効率の可能性があるため、適切な時間帯で質の高い会話を行えているかを確認する目安になります。
ナーチャリング目的の場合は、関係構築に必要なだけの時間を確保することが大切です。
5. 商談転嫁率
通話が実現した中で、商談設定に至った割合です。
商談転嫁率=商談数 ÷ 通話件数 × 100(%) |
この指標は最終的な成果を示すもので、話法やトークスクリプトの質、顧客の見込み度が影響します。通電後に適切にニーズを引き出し、商談に結びつけられるかを測定する重要なKPIです。
セミナーのKPI
1. 申し込み数
セミナーへの参加登録件数を指します。認知~関心段階のリードをどれだけ獲得できているかを測定する指標です。集客力や告知施策の効果(メール、広告、パートナー送客など)が反映されるため、マーケティング施策全体の到達度を確認できます。
2. 参加人数(着席数)
実際に当日参加した人数です。申し込み数との差分(ドタキャン率)を把握することで、リマインド施策の有効性や参加意欲の高さを確認できます。
オンラインの場合は「参加数」、オフラインでは「着席数」が指標となります。
3. アンケート回答数
セミナー終了後に回収できたアンケート数です。回答率(=回答数 ÷ 参加人数)をあわせて把握することが重要です。
アンケートは顧客理解やリードスコアリングの材料となり、ナーチャリング後のアプローチに活用できます。
4. 資料請求・問い合わせ数
セミナー後に発生した具体的なアクション数を指します。アンケート設計やフォロー施策次第で増加させることが可能です。
ここでは「関心が顕在化したリード」を把握できるため、ナーチャリングから検討フェーズへの移行度を測るKPIとなります。
5. 商談転換数・率
セミナー後に実際の商談へ移行した件数・割合を示します。
最終的な成果を測る指標であり、セミナー内容の質やフォロー営業のタイミングとスクリプトが大きく影響します。リードナーチャリングのゴールを明確にする上で、最重要KPIといえます。
まとめ
リードナーチャリングとは、見込み顧客に有益な情報を段階的に提供し、興味を高めて購買につなげる手法です。従来の直接的な営業とは異なり、メールやLINE、セミナーなどを活用して自然に関心を育てます。
このプロセスを効果的に進めるためにはKPIの設定が不可欠であり、進捗確認や改善の道しるべとなります。