中小企業にこそ必要なブランディング!具体的な施策や成功事例を紹介

ブランディングは、大企業にとっても中小企業にとっても重要な戦略のひとつです。特に、企業を成長させる上では中小企業にこそ欠かせない取り組みといえるでしょう。 中小企業がブランディングを行う際は、企業の規模感に合わせた中小企業ならではの取り組みがポイントになります。 本記事では、中小企業にこそブランディングが必要な理由や、中小企業が取り組むべきブランディング方法、成功事例を解説します。中小企業のブランディングについて検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

中小企業こそブランディングが必要な理由

中小企業ブランディングを行う理由としては、積極的にブランドアピールを行うことで、企業イメージ、企業価値を高めることができるからです。

競合他社が数多くある中で競争に打ち勝ち、自社製品の販売を促進するためにも、中小企業こそブランディングが必要になっています。

競合の中から選ばれるようになる

同業他社が複数ある場合、ブランディングを行うことで、他社との差別化を図ることができます。中小企業ブランディングには、商品で行う差別化だけでなく、人による差別化というものもあります。

また、製品・サービスの質だけでなく、価格や製造法など、差別化の要素は数多くあります。そのため、自社の強みをしっかりと把握することがまずは重要になってきます。

そして、業界内にポジションが同じような同業他社がある場合、ブランディングができている企業の方が消費者から選ばれやすくなるという傾向があります。自社だけでなく、業界全体を見渡してブランディングを行うことで、競合の中から選ばれるようになるでしょう。

価格競争に巻き込まれなくなる

ブランディングが確立されていないと、状況によっては販売する商品・サービスの値引きが必要になってきます。しかし、度々値引きを行うと、顧客が「いつも値引きしている商品」として認識してしまい、製品・サービスを定価で購入してくれなくなるという負の連鎖が起きてしまうこともあります。

ブランディングが確立され、商品・サービスの価格以外の価値を認めてもらえるようになると、顧客から「この企業だったら安心」と値引きしなくても購入してもらいやすくなり、価格競争へ巻き込まれなくなります。

価格以外の価値として、具体的には質、生産地、生産方式といったものがあります。顧客は様々な要素から購買活動を行うため、これらの要素からブランディングを行うのも良いでしょう。

資金調達がしやすくなる

ブランドイメージが確立していることは、競合他社との差別化など、様々なメリットを生み出します。そのため、ポジティブなブランドイメージが確立しているかどうかといった点は、投資家や銀行が企業の信頼や将来性を判断する上での材料とすることがあります。

ポジティブなブランドイメージが確立され、それが浸透されているとの判断が下れば、投資家や銀行が投資を行う際に、前向きな要素となるので、資金調達などを行う際にも、有利に働くでしょう。

大企業と比べて、資本の規模が小さくなる中小企業においては、資金調達がしやすくなるのは大変なメリットとなります。

人材採用がしやすくなる

企業ブランディングが確立してくると、顧客に対してだけでなく、採用においてもメリットが生まれます。それは採用です。つまり優良な企業イメージが浸透することで、自社への就職希望者が増えることに繋がります。

求職者へのブランドイメージも浸透することで、求職者の絶対数が増えることになり、求める人材と遭遇する確率が高くなることになります。

また求職者の増加だけでなく、ブランドイメージの浸透によって、求職者の側は入社の前段階での企業理解が深まるので、入社後のミスマッチを減らすことができます。これはさらに、採用後の離職率や、仕事への情熱、モチベーションの維持にも効果があるでしょう。

そして最も重要なことでもありますが、ブランディングによって採用コストの削減にも繋がります。

従業員のモチベーションアップにつながる

企業のブランディングが確立されると、従業員のモチベーションアップにつながります。ポジティブなブランディングに成功すると、会社の仕事を通じて誇りや充実感を感じられるからです。

企業ブランディングを通して高まったモチベーションは、自社への愛着につながります。自社への愛着や理解をさらに深めるためにも、中小企業のブランディングでは従業員を巻き込み一体感を持って進めましょう

中小企業が取り組むべきブランディングの施策

中小企業のブランディングは、大企業が行うブランディングとは方法を変えた方が良いでしょう。中小企業と大企業では、ブランディングにかけられる費用や人員が異なるからです。

ここでは、中小企業が取り組むべきブランディング施策について解説します。

会社のイメージを統一させる

中小企業ブランディングを行う際には、まず会社のイメージを統一するということを心がけましょう。顧客のブランドイメージは、総合的な要素から出来上がります。一部分のみに力を入れても、かえって中途半端なブランドイメージを植え付けることになってしまいます。

そのため、会社の案内やウェブサイト、カタログなどのデザインは統一しておくとよいでしょう。

例えば「高級感」「親しみやすさ」などの自社の強みをテーマとして設定し、ロゴ、広告、Webサイト、名刺などありとあらゆる細かい部分まで手を抜かないことが重要になってきます。

全体的な会社のイメージを統一することができれば、顧客は安心して商品・サービスを購入することができるので、イメージの統一は中小企業ブランディングのコツになってきます。

従業員全体で一体感を持たせる

中小企業ブランディングでは、従業員全体で一体感を持たせるインナーブランディングというものも重要になってきます。インナーブランディングとは、社内でのブランド価値理解を浸透させることです。

社外へ向けたブランディングだけでなく、社内で働く従業員がブランドに対して理解がないと、急な決定を迫られた場合などに、方向性がまとまらなかったり、顧客へブランドイメージが伝わりきらないといった事態が起きてしまいます。

従業員のブランディングに対しての理解を深めるためには、社内研修などを行い、常日頃から備えておく必要があります。

一貫性のある戦略を行う

中小企業ではブランディングの進め方はもちろん、コンセプトや販促方法、ターゲットなど戦略に一貫性を持たせるのがポイントです。

企業の規模が大きいほどタイムラグが発生したり、支社ごとに独自のルールができてしまったりと一貫性を持たせるのが難しくなります

一方、中小企業は大企業に比べて足並みがそろえやすく、理解度や認識も溝が深まりにくいのが利点です。中小企業ならではの利点を活かし、一貫性のある戦略を行いましょう。

強みを洗い出す

中小企業がブランディングを行う際には、自社にしかない強みを洗い出しましょう。強みを洗い出す際には、競合と差別化を図れる部分を探します。

自社の持つ技術や地域に寄り添った商品・サービスなど、独自性を持たせると自社ならではの特長を押し出せます。

中小企業で行うブランディングの注意点

中小企業がブランディングを行うにあたって、注意すべきポイントは以下の2つです。

・大企業と同じ戦略を行わない
・認知度を高めるだけのブランディングは行わない

大企業と同じ戦略を行わない

中小企業のブランディングではコスト面・規模感など、身の丈にあった無理のない戦略を組む姿勢が大切です。

例えば、顧客から意見を募りたいとき、すでに全国展開しているチェーン店であれば、全国へ向けてWebアンケートを発信するかもしれません。しかし、特定の地域に根付く企業の場合は、近隣住民を対象にチラシを配る方が、身近な情報を得られます。

企業規模が異なれば戦略も異なります。他社と同じではなく、自社に応じた戦略で適切なブランディングを行いましょう。

認知度を高めるだけのブランディングは行わない

中小企業にとってブランディングは、これまで自社を知らなかった人に知ってもらう大切な機会となります。しかし、自社を知ってもらい注目されるだけでは成果につながりません。

ブランディングによって認知度を高めるだけではなく、自社ならではの存在価値を作り上げていくように心掛けましょう。

中小企業のブランディング成功事例2選

ここでは中小企業のブランディング成功事例を2つ紹介します。成功事例を参考に、自社に取り入れる施策を検討する足掛かりにしましょう。

企業イメージを刷新しブランド構築に成功(近畿編針株式会社)

近畿編針株式会社は、企業ブランドへの愛着を構築するために全社員でブランディングを推進しました。

行った施策は、顧客ターゲットを定めターゲットに受け入れられやすいコンセプトの設定です。コンセプトをもとにブランド名を決定し、ブランドロゴや製品パッケージなどに統一感を持たせ、デザインイメージを刷新しました。

ブランディングの取り組みの結果、新ブランド立ち上げ前と比べて売上が約1.5倍増加しました。主体性を持って取り組んだ点や、見せ方を変えてブランドイメージを構築した点が、成功のポイントとなったといえます。

コンセプトやデザインの見直しでターゲットの若返りに成功(環境大善株式会社)

牛のし尿を再利用した消臭剤や土壌改良材の製造・販売を行う環境大善株式会社は、ブランディングでターゲットの若返りに成功しています。

当時のメイン顧客は70代などの高齢層であり、ターゲット層の若返りを目的として、まずブランドコンセプトの見直しに着手しました。具体的な取り組みは、ブランドコンセプトにもとづき、若年層に親しみやすさを持ってもらえるパッケージデザインへの変更です。

ブランディング後に20〜30代向けの女性誌に掲載されたところ反響が大きく、百貨店や雑貨店などにも販路が拡大しました。

また、自社の経営理念・存在意義を記した経営指針書の社内共有も、行ったブランディング施策のひとつです。自社ブランドのコンセプトを言語化して発信したことで、従業員エンゲージメントも高まりました。

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まとめ

中小企業がブランディングを行う際は、規模の大きな会社とは別手法での取り組みが重要です。かけられる費用などは大企業と異なる前提で、自社に適した施策の推進がブランディング成功への近道と言えます。

また、大企業よりも中小企業の方が多いため、競合他社とどのように差別化を図るかがポイントです。

組織が一体感を持ってブランディングできるため、中小企業はブランディングに取り組みやすい環境だとも考えられるでしょう。