Webメディアとは
Webメディアとは、「Webを通じて情報を発信するメディア」のことを指します。具体的には、ニュースサイト、企業の公式サイト、ブログ、SNSなどが該当します。
一方で、新聞、テレビ、ラジオなどの媒体は「マスメディア」と呼ばれ、不特定多数の大衆層(マス層)をターゲットにしています。
Webメディアとマスメディアの違い
一般的にマスメディアは、広告出稿費用が高額になる傾向がある一方で、Webメディアは比較的低コストで運用できる場合が多いのが特徴です。加えて、Webメディアはアクセス数やユーザー行動のデータを詳細に分析できるため、マーケティング施策の改善に役立ちます。
これらからWebメディアはデータドリブンなマーケティングを可能にする強力なツールになっています。
Webメディアの役割と企業への利点
Webメディアは、集客やブランディングなど、企業のマーケティング施策を強化するための重要な役割を果たします。特に、データを活用して施策の効果を可視化し、迅速に改善を繰り返すことで、ターゲット層への訴求力を高めることができます。
低コストで運用できる点や、リアルタイムでユーザーの反応を得られる点も、マスメディアにはない強みです。企業がマーケティング施策を成功させる上で、Webメディアの活用は今や欠かせない要素となっています。
Webメディアのメリット
Webメディアの運用には、以下のような幅広いメリットがあります。
集客効果が期待できる
検索エンジンやSNSを通じて、幅広いターゲット層へのリーチが可能です。
ユーザーとのコミュニケーションが図れる
コメントやSNSシェアを通じて、双方向のやり取りが可能で、ユーザーとの関係を深めることができます。
新たなファンを生み出せる
継続的な情報発信により、ブランドの認知度を高め、新たな支持層を獲得できます。
直接収益を得られる
アフィリエイト広告やスポンサー記事など、収益化の仕組みを組み込むことで、Webメディア自体がビジネスとして機能します。
Webメディアの種類とその特徴
Web上で情報を発信しているWebメディアとは、具体的にどういったメディアなのでしょう。「Webメディアにはどのような種類があるのか」「Webメディアにはどんな特徴があるのか」など、実際にわからないという方は多いのではないでしょうか。
Webメディアは、目的や発信情報の形式に応じて分類されます。大きく分けて「一次メディア」と「二次メディア」に分けられます。この区別を理解することで、Webメディアの活用方法をより理解することができるでしょう。
一次メディア
一次メディアとは、自ら情報を収集し、編集・発信するメディアのことを指します。一次情報を直接提供するため、信頼性が高く、深い専門性を持つコンテンツが多いのが特徴です。
例:新聞社のWebサイト、研究機関サイト、オウンドメディア |
一次メディアは、オリジナルの情報源として重要であり、独自性や詳細な分析が求められる場面で活用されます。
二次メディア
二次メディアは、一次メディアの情報をもとに、再編集・キュレーションしたコンテンツを提供するメディアです。情報を簡潔にまとめたり、わかりやすく再構築することが主な役割です。
例:キュレーションサイト、ニュースまとめサイト |
二次メディアは、効率的に情報を得たい読者に適しており、幅広い層にリーチできる点が特徴です。
Webメディアの目的別タイプ
一次メディア・二次メディアという枠組みに加え、Webメディアは目的別にさらに細分化されます。それぞれのタイプを理解することで、具体的な活用方法が見えてきます。ここでは、5つの細分化されたメディアを紹介します。
・オウンドメディア
・ソーシャルメディア
・パイラルメディア
・キュレーションメディア
オウンドメディア
オウンドメディは、企業が自ら所有・運営するWebメディアの総称を指します。主に認知の獲得や見込み顧客の獲得、採用活動の促進などを目的に活用されています。具体例としては、企業のブログ・コラム、ECサイト、などが挙げられます。
オウンドメディアの特徴は、自社の裁量でコンテンツの内容や更新頻度、発信タイミングを自由に設計できる点です。例えば、商品やサービスの魅力を深く伝える記事、ユーザーの課題解決に役立つノウハウ動画、さらには社員インタビューを通じて企業文化をアピールするコンテンツなど、さまざまな形式で情報発信が可能です。
単に情報を発信するだけでなく、ユーザーが「このメディアを見てよかった」と感じられる価値を提供することが重要です。たとえば、化粧品ブランドであれば、美容に関する最新トレンドやスキンケア方法を分かりやすく伝える記事を継続的に配信することで、読者の信頼を得ながらファン化を目指せます。
一方で、オウンドメディアを成功させるためには、運営のための時間やコストが必要です。初期の企画段階からターゲットのニーズを的確に捉え、定期的に新鮮なコンテンツを提供し続けることが求められます。
これらを着実に行うことでオウンドメディアは、短期的な広告に依存しない持続的なWeb集客の仕組みとして機能します。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアとは、不特定多数のユーザーがコミュニケーションを図るメディアで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とも呼ばれます。ソーシャルとは「社会的、社交的」という意味です。
例えば、ブログ、Facebook、Twitter、YouTube などを媒体としたメディアのことをいいます。
テキストや画像、動画など幅広い形式の投稿によって、企業側・顧客側双方が情報を発信・拡散できることが特徴です。また、「いいね」やコメント、シェアなどの機能を通して、双方向のコミュニケーションもできます。
パイラルメディア
バイラルメディアとは、画像や動画をブログ形式で掲載しているニュースサイトなどのメディアのことです。バイラルには「話題がウイルスのように広がる」という意味があります。
バイラルメディアの特徴は、情報が高い拡散力でユーザーに共有されていくことです。有名なバイラルメディアには、BuzzFeed(バズフィード)やCuRAZY(クレイジー)などがあります。
短時間で大きなアクセス数を獲得できるため、広告収益の獲得やマーケティング力向上に活用されています。一方で、注目されている話題を短期的に取り扱うので、常に新しい話題やコンテンツを提供し続ける必要があることが注意点です。
キュレーションメディア
キュレーションメディアとは、ユーザーの特性に合わせて、カテゴリごとに情報を発信するメディアのことです。Web上に散在する情報をユーザーに向けて分かりやすくまとめ直す役割があり、「まとめサイト」と呼ばれることがあります。
例えば、「Smart News」のように政治・経済からスポーツ、グルメまで幅広いテーマを扱うメディアがあります。
また、あらゆる旅行に関する情報をWeb上から集めている「RETRIP(リトリップ)」も、キュレーションメディアの一例です。海外から国内まで特定のテーマを掘り下げていることが特徴といえます。
大手キュレーションメディアでは、関心のあるトピックをユーザーが選択できる上に、アルゴリズムによる推奨コンテンツを表示可能です。欲しい情報を効率的に得られるメディアとして注目されています。
Webメディアを立ち上げる手順
Webメディアを立ち上げる手順について、以下の4つのステップに分けて解説します。
1.目標・ペルソナを設定する
2.プラットフォームを準備する
3.コンテンツを作成する
4.メディアを運用・改善していく
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.目標・ペルソナを設定する
Webメディアを立ち上げる際、後々作業のブレが起こりにくくなるよう、事前に目標・ペルソナを明確化する必要があります。
ペルソナとは、マーケティング戦略を立てる際に活用される、具体的かつ架空の顧客像を指します。
ターゲットとなる顧客の性別や年齢、職業、趣味、価値観などを細かく設定することです。実際の顧客に近いイメージを作り出します。
次に目標を設定します。目標は「SMARTの法則」に基づいて設定すると効果的です。
Specific | 明確かつ具体的である |
Measurable | 数値化や評価ができる |
Achievable | 現実的で到達可能な範囲内である |
Relevant | 組織やチームの大きな目標と一致する |
Time-bound | 明確な期限や期間がある |
例えば、「企業ブランドの認知度を高めるために、先月1,000PVだったオウンドメディアを、3ヵ月以内に10,000PVまで増加させる」など、具体的で測定・達成可能な目標を立てましょう。
また、ペルソナは「年齢、性別、職業、趣味、家族構成、ライフスタイル」など細かいところを含めて、リアリティのあるターゲット像を作成します。
一例として、メンズ専用の美容液を販売する場合のペルソナを考えます。単に「若い男性」などとするのではなく「20代男性、専門商社勤務で一人暮らし、生活習慣の乱れによる肌荒れに悩んでいる」などの具体化が重要です。
詳細情報があることで、「生活習慣が乱れやすい毎日でも短時間で活用できて、肌荒れ防止効果が期待できる」など、顧客に刺さるアピールポイントを考えやすくなります。
その際、より顧客の実態に即したものになるよう、定量的なデータをもちいて企業の主観を排除すると効果的です。データ収集には、市場調査や消費者アンケート、SNSでの反応などを活用できます。
2.プラットフォームを準備する
Webメディアの目標・ペルソナが決まったら、次はプラットフォームを準備します。Webメディアに使用するドメインとサーバーを用意した上で、CMS(Contents Management System ウェブサイトを構築、管理、更新できるシステム)を選択する流れです。
特にCMSは作業の効率性だけでなく、SEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)にも影響が大きいため、適切な種類を選ぶ必要があります。
初めてWebメディアを立ち上げるなら、低コストでカスタマイズしやすいオープンソース型のCMSがおすすめです。
特にWordPressは、基本性能やデザイン性が高く、無料機能も豊富です。プログラミングの知識がなくても、サイトデザインやモバイル対応、ページ読み込み速度などを改善し、ユーザー体験(UX)を高められます。
なお、プラットフォームの準備は外注できるため、「サイト構築に手間をかけたり、失敗したくない」という場合は、プロに任せた方が良いでしょう。
3.コンテンツを作成する
ラットフォームを選定したら、次にコンテンツを作成しましょう。コンテンツを作成する上で重要なことは、ニーズが高く信頼性の高い記事を作るということです。
信頼性を高めるには読者に「この記事は信用できる」と意識させることが大切です。具体的な方法には、以下が挙げられます。
・権威のある専門家の名前を記載して、発言を引用する
・専門家が記事を監修していることを提示する
・一次メディアなどの情報源やデータを出典として記載する
より実用的なコンテンツ制作に関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。自社制作や外注制作を検討している方は、ぜひご参考にしてください。
4.メディアを運用・改善していく
作成したWebメディアは、KPI(重要業績評価指標)の達成状況をもとに改善することが重要です。Webメディアの運営に決まった方法はなく、実際のパフォーマンスを見つつPDCAサイクルを回す必要があります。
Webメディアのアクセスに関するKPIには、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)、滞在時間などがあり、以下のようにそれぞれ測定目的が異なります。
指標 | 概要 |
ページビュー(PV) | ・サイト内のページが表示された回数 ・同じユーザーが複数回ページを閲覧した場合もカウント対象 ・コンテンツの人気やボリューム数を測る上で大切な指標 |
ユニークユーザー(UU) | ・サイトを訪問した個別のユーザー数 ・同じユーザーが何度訪問しても1カウント ・見込み顧客になりうる新規ユーザー数を可視化する上で重要な指標 |
滞在時間 | ・ページに滞留した時間の長さ ・コンテンツの質やユーザーの反応を測る上で重要な指標 |
オウンドメディアであれば、Google Search Console(Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービス)やGoogle Analyticsなどのツールを活用することで、上記のような指標の結果を手軽に得られます。
また、Webメディアの更新頻度を落とさないようにすることも大切です。定期的にWebサイトを更新することで、訴求力や顧客の満足度を高められ、より効果的な運営が可能となります。
Webメディアの成功事例3選
Webメディアを立ち上げる際には、成功事例を参考にして、自社の方針にノウハウを取り入れることが重要です。ここでは、3つの事例の特徴や魅力について解説します。
自社ならではの専門記事でブランディング|ミス・パリ・グループ
ミス・パリ・グループは、男性向けWebメディア「DANDY LABO.」と、女性向けWebメディア「Beauty Picks」を運営しています。
目的 | 自社商品・サービスのブランディング |
ターゲット | 美容・健康意識の高い男性・女性 |
テーマ | DANDY LABO.:男磨きを総合的にプロデュースするダンディハウスの記事ブログ Beauty Picks:世界品質の美を求める全ての女性に届けるミス・パリの記事ブログ |
主なコンテンツ | 美容や健康、おしゃれに関するノウハウ記事 |
具体的には「健康的に痩せる方法」「モテる男の服装」などの特集が挙げられます。
美容・健康に精通した企業ならではの情報発信を強みとしており、評価が厳しいYMYL(Your Money or Your Life/Google検索品質評価ガイドラインで示されている特別な分野のこと)領域でありながら、月間数十万セッションを実現しました。
エステの市場認知度を向上させるとともに、「エステで痩せられる」などの新たなブランディングに成功しています。
出典:YMYL領域で自然流入が10倍増!コンテンツSEOで「エステ」の認知を広げた成功事例
初心者向けにマーケティングのノウハウ記事を発信|株式会社ベーシック
株式会社ベーシックは、マーケティングの情報に特化したオウンドメディア「ferret」を運営しています。
目的 | 自社のリード獲得 |
ターゲット | 企業の経営者やマーケティング担当者、個人のマーケター |
テーマ | マーケターのよりどころ |
主なコンテンツ | マーケティングの専門的なノウハウをまとめた記事 |
企業の経営者からマーケティング担当者、個人事業主まで、幅広いユーザーに対してマーケティングの知識を発信しているオウンドメディアです。
具体的には、実務に役立つノウハウやツールの使用法などについて、図解や実例をもちいて初心者でも分かりやすく表現しています。
自社ならではの専門的なコンテンツを展開し、自社のマーケティング事業のリード獲得を実現している成功事例のひとつです。
オウンドメディアとECサイトを融合して顧客へ訴求|株式会社クラシコム
株式会社クラシコムは、北欧系のインテリアや雑貨、衣類などを発信・販売する「北欧、暮らしの道具店」を運営しています。
目的 | 自社商品の売上増加 |
ターゲット | インテリアや雑貨に関心がある方 |
テーマ | フィットする暮らし、つくろう。 |
主なコンテンツ | 暮らしに関する役立つコラム・商品購入ページ |
暮らしを彩るヒントやインタビュー、エッセイなどのコンテンツとEC機能を融合させて、自社商品の売上向上を図っていることが特徴です。
例えば、「スタッフ着用レビュー」「スタッフの愛用品」などのコラムに商品購入ページへのリンクがあるなど、メディアの利便性が高いことが魅力です。
ユーザーアンケートによると、週1回以上はサイトに訪れる方が96%という実績を出したことがあり、ユーザーのファン化に成功しています。
まとめ
Webメディアには、一次メディアや二次メディア、オウンドメディア、ソーシャルメディアなど、幅広い種類があります。
自社でWebメディアを立ち上げる際、まずは目標やペルソナなどを明確に設定しましょう。コンセプトをもとに、自社ならではの強みを活かした専門的なコンテンツを作成することが重要です。
また、Webメディアの運用・改善には一定のコストと労力がかかります。自社に運用ノウハウがなくリソースの確保が難しければ、専門会社に相談しても良いでしょう。