LTV(顧客生涯価値)とは?リピーターを増やすための基本知識

LTV(顧客生涯価値)はマーケティングの基本です。一般的に新規顧客獲得には既存顧客との関係維持コストの5倍かかるといわれています。つまり、リピーターを増やす努力をした方が収益は上がりやすく、効率のよいマーケティングが行えるということです。

LTVとは

LTV(Life Time Value)とは顧客生涯価値のことを指します。提供しているサービスの利用や商品の購入頻度が高い顧客はLTVが高く、反対に一度だけの顧客はLTVが低いといえます。

マーケティングにおけるLTVの重要性は、顧客を新規獲得する際のコストを考えるとよくわかります。一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客との関係維持コストの5倍といわれているのです。これは1:5の法則と呼ばれ、マーケティングの世界ではよく知られています。

つまり、新しい顧客を獲得するマーケティングを行うなら、リピーターを増やす努力をした方が、コスト面では5倍効率が良いということです。

特にBtoBビジネスにおいてはサービスを購入する企業側も、コストや利便性など合理的な理由でサービスを選択します。企業向けサービスは対象となる取引先が限られていることも多く、新規顧客候補自体が限られています。

BtoCビジネスでは消費者がいわゆる衝動買いを行う場合もあり、マーケティングの手法はBtoBビジネスとは異なる部分もあります。ですが、日本は少子化により人口も減少傾向にあり、サービスや商品は多様化しています。

 

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LTVの計算方法

マーケティングを考える上では基本ともいえるLTVですが、以下の計算式で簡単に算出できます。

・LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均購買期間

例えばスーパーマーケットA社では、顧客の平均単価は1,000円、平均来店頻度は月1回、平均購買期間は5年間だとします。この場合のLTVは1000×12×5となり、A社のLTV=6万円となります。

このように、会社全体の売り上げに対してLTVの平均値を求めるのはもちろん、数値さえ分かれば顧客別にLTVを求めることもできます。

ただしここで求めたLTVとは売り上げだけを考慮した数値です。どんなにLTVが高くても、費用が多くかかっていれば利益はでません。そのため、LTVを数値化する場合は一般的に下記の式が活用されています。

  • LTV=(平均購買単価x平均購買頻度x平均購買期間)-(新規獲得費用+顧客維持費用)

同じ例で考えてみます。スーパーマーケットA社では、新規顧客獲得のための広告費用が顧客一人当たりに5,000円、既存顧客の再来店を促すメールマガジン配信や、ポイントカードの維持費に5,000円かかったとします。

この場合、60,000-(5,000+5,000)となり、費用も考慮したA社のLTVは5万円ということになります。

LTV計算の応用

LTVを把握する重要性とは、新規顧客獲得のためのCPAをどこまでかけられるかが分かる点も挙げられます。CPAとは「Cost per Acquisition」の略語で顧客獲得単価の意味です。上限CPAは下記の式で求めることができます。

・上限CPA=LTV×粗利率

これも同じ例で考えてみます。スーパーマーケットA社のLTVは6万円でした。取り扱っている商品の平均粗利率は20%だとすると、60,000×0.2=1.2万円となり、上限CPAは1.2万円ということになります。

LTVとは顧客生涯価値ですから、顧客一人を獲得するとA社には6万円の売り上げが期待できるということです。ここに加えて粗利率が20%であることを考えると、顧客一人あたりが会社にもたらす利益は1.2万円ということです。

新規顧客を獲得するたに1.2万円以上かけてしまうと、期待できる利益よりもコストが上回ってしまうのです。

計算式を見れば分かりますが、上限CPAを高めるためにはLTVか粗利率を上げる必要があります。より高いCPAを確保すれば、新規顧客を獲得して会社を拡大していくことができます。

 

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LTVを最大化するには

LTVを最大化すれば効率的に収益アップが望め、上限CPAも上昇し新規顧客獲得に繋げることができます。ですが、その為にコストが高くなりすぎてしまっては意味がありませんし、粗利率が低くなっても収益は上昇しません。

LTVを最大化するためには、平均購買単価と平均購買頻度、平均継続購買期間を高めていくことに加え、コストや粗利率のバランスを取りながら考える必要があります。以下では、どのような施策が効果的か解説します。

顧客単価を上げる

平均購買単価を考えてみます。最も単純な方法は商品の値上げですが、安易な値上げは顧客離れの懸念もあります。

同じ商品なのに価格の高いスーパーマーケットA社と安いB社であれば、B社が選ばれるのは当然です。値上げを行うのであれば、B社よりも魅力的な商品を扱っていることや、顧客にメリットがあるプロモーションを展開する必要があります。

効果的なプロモーションの1つとして、まとめ売りやセット売りがあります。A社で1つ200円、B社で180円の牛乳があったとします。このままではB社の価格が安いため、顧客がB社へ流れてしまう可能性があります。

そこで、1つ200円の牛乳に対し、A社オリジナルのコーンフレークを同時購入すると100円引きで販売すると印象は大きく変わります。まとめ買いを誘発することで、顧客単価も効果的に引き上げることができます。

また、複数の価格帯を設定する手法も有効です。スーパーマーケットで3種類の価格が異なる牛乳が陳列されていたとします。価格は100円、200円、300円、あなたならどの牛乳を選ぶでしょうか。

200円の牛乳を選ぶ方が多いと思います。3パターンの価格帯が存在する場合、消費者は中間の価格を選びやすいのです。この心理をうまく活用し中間の価格を上手く引き上げられれば、顧客単価乗用に繋がります。

収益率を上げる

原価を抑えることができれば、収益率は上昇します。スーパーマーケットA社とB社において200円で販売している牛乳を、A社では150円で仕入れを行いB社は140円だった場合、販売価格が同じであればB社が高い収益率といえるでしょうか。実は単純にそうとは限りません。

深掘りして考えると、牛乳1本にも輸送コストや売り場展開のPOPコスト、商品陳列に費やしたコストや冷蔵コストなど様々な費用が掛かっています。会計上の原価とは仕入れ値ではなく、販売額から利益を減じたものです。

スーパーマーケットA社の牛乳1本の利益は、一見すると販売価格200円-仕入れ値150円=50円と考えがちですが、実際の利益はここからさらにコストが引かれるのです。

つまり原価を抑えるとは、仕入れ値価格を下げることはもちろん、販売までにかかる様々なコストを抑えるという意味です。

牛乳の例の場合、営業で仕入れ数を1.5倍増にする代わりに仕入れ値を安くしてもらう交渉や、同一メーカーからチーズなどの加工品も同時に仕入れを行い、輸送コストを抑える方法がとれるかもしれません。

原価を抑える方法は、様々なアプローチが考えられます。職種によっても異なりますが、原価は主に「材料費」「労務費」「経費」の3つの要素から成り立ちます。収益率を考える場合は、この3つを念頭に改善策を探ると良いでしょう。

購入頻度を上げる

LTVとは顧客生涯価値のことです。顧客を定着させてリピーターを増やしていくことがLTVを高める基本です。その上で、リピーターの来店頻度がより高くなればLTVの上昇に繋がります。具体的な方法として、メールマガジンやDMなどによる適切なアフターフォローが有効です。

配布するメールマガジン、DMの内容も重要なポイントになります。

スーパーマーケットA社ではポイントカード会員の購買履歴を確認したところ、平均来店頻度は週1.5回であることが分かりました。より来店数を増やしてもらうため、毎週1回曜日限定で利用できる100円のクーポン券をメールマガジンで配信することにしました。

A社の例は、顧客に来店を促す上で効果が見込めるでしょう。

もちろん、メールマガジンを配信する費用や、クーポン券利用による利益の減少も計算する必要があります。購入頻度を上げるプロモーションを行う場合も、LTVの基本である平均購買単価・平均購買期間、そしてコストとのバランスを意識することが重要です。