比較検討層とは?見込み顧客への育成法と気を付けたいポイントを紹介

購入意欲の違いから、顧客層はいくつかの種類に分けられます。その中の1つである比較検討層は商品やサービスを比較検討しており、購入一歩手前の層です。あと一押しで購入に繋げられる比較検討層へのアプローチは、高いマーケティング効果が狙えます。

比較検討層とは

購入意欲の違いから、顧客層はいくつかの種類に分けられます。

その中の1つである比較検討層は、名前の通り商品やサービスを比較検討している層のことですが、正しく理解するためには、まず顕在層と潜在層を理解する必要があります。

顕在層とは購買意欲の高いユーザー、リピーターや既存顧客などを指し、潜在層は商品やサービスを知らないが、購入の可能性があるユーザーを指します。

A社の最新のゲーム機を例に考えてみると、顕在層とは、A社のゲーム機が欲しいとすでに考えており、実際にネットショップで検索するなど購入するために行動を起こしている層です。

潜在層とは、古いゲーム機に飽きており、面白いゲーム機は他にないかと考えてはいるものの、A社のゲーム機の存在を知らない層です。

潜在層は解釈の幅が広く、例えばゲーム機に関する知識はなくても、家で時間をつぶす面白い遊びを求めている人など、自分のニーズに気が付いていない層なども含まれます。

さらに顕在層と潜在層の間には、見込み顧客と呼ばれる層がいます。見込み顧客とは購入や問い合わせなどの行動を起こす見込みのある層です。

ゲーム機の例なら、A社の新しいゲームソフトが出るタイミングで、新型ゲーム機を購入しようと考えている顧客です。見込み顧客は顕在層の予備軍的な状態で、顕在層と同じ意味で使われることもあります。

比較検討層は見込み客と潜在層の中間に位置します。商品やサービス内容を知っていて、欲しいと考えているが、購入などの行動に出ずに検討している層のことです。

 

比較検討層を見込み顧客にするには

マーケティングでは顕在層や潜在層などの顧客層を区別して、それぞれ異なる方法でアプローチする視点が必要ですが、比較検討層へのアプローチは特に重要です。

すでに買う気になっている顕在層は何もしなくても利益をもたらしますし、一方で商品やサービスを全く知らない潜在層へのアプローチは時間もコストもかかります。

もちろん、顕在層や潜在層へのアプローチは会社を拡大していくために重要ですが、マーケティングの効果は出にくい層といえます。

比較検討層はあと一押しで買う可能性が高まる層なので、マーケティングの効果が出やすい層といえます。限られた時間と費用の中で収益を上げるには、比較検討層を見込み客に引き上げる取り組みが効果的です。

比較検討層に向けたマーケティングは、大きく分けるとアウトバウンドとインバウンドがあります。それぞれどのような方法なのでしょうか。

インバウンド

中国旅行客の爆買いなど、インバウンド需要という言葉はメディアでもよく使われるため聞いたことがある人も多いでしょう。ただしこれは観光業界における意味で、広告業界におけるインバウンドは意味が異なります。

もともとインバウンド(Inbound)とは、外側から内側へ向かう動きを示す言葉ですが、広告業界では顧客の動きに合わせてアプローチするマーケティング手法を指します。

A社のゲーム機で例えると、購入を迷っている人がゲーム機の性能を知りたいと考えたとします。

検索サイトでゲーム機を検索して辿り着いたWEBページは、A社の公式サイトのゲーム機紹介ページでした。このページからは、ゲーム機の性能や機能に加えて他社製のゲーム機との違いを分析した解説書もダウンロードできます。

このように自社で用意したWEBサイトなどを「オウンドメディア」と呼びます。また、商品の機能・サービス・比較事例など、直接商品の購入に繋がらないものの、顧客にとって役立つ情報を「ホワイトペーパー」と呼びます。

顧客がサービスや商品を知りたいと思ったタイミングで、疑問に感じたことや有益な情報を提供するオウンドメディアやホワイトペーパーは、インバウンドマーケティングの1つです。

インバウンドマーケティングとして、他にもSNSやセミナーなどが挙げられます。

SNSはオウンドメディアと同じように商品の紹介ページを作成できることに加え、顧客とコミュニケーションを取りやすく、親近感を持ってもらいやすいといえます。セミナーは、より顧客との接点を深く持てる可能性があります。

インバウンドマーケティングは、いずれも一度形を作ってしまえば長く活用できるものが多く、コストがかからないメリットがあります。反面、長く続けないと効果は見えづらく即効性はありません。

アウトバウンド

インバウンドが外側から内側への顧客の流れを意識した「待ち」のマーケティング手法であるのに対し、アウトバウンドは外側に向けた積極的なマーケティングです。

TVCMは代表的なアウトバウンドマーケティングの1つといえますが、不特定多数の視聴者に向けた広告です。比較検討層に絞って行う場合はどのような手法があるでしょうか。

ゲーム機の例で考えてみます。A社のゲーム機に関し、検索サイトを使って情報収集をしている比較検討層の顧客が、別の日に何気なくWEBサイトを閲覧していたとします。

すると、記事と記事の合間にゲーム機割引キャンペーンの広告が表示されました。これは検索サイトを利用したユーザーが、検索キーワードに応じた商品やサービスを表示するリスティング広告と呼ばれるもので、比較検討層に照準を絞ったアウトバウンドマーケティングといえます。

ほかにも展示会実施やテレアポなど、顧客との接点をより積極的に持てる方法もあります。いずれも、比較検討層に企業側から積極的に商品やサービスを売り込めるので、短期的には効果の高いマーケティング手法です。

 

比較検討層を引き込む際に気を付けること

インバウンドマーケティングは低コストで実施できますが、効果を上げるには時間がかかります。アウトバウンドマーケティングはその逆で、短期決戦には有効ですが、ある程度の費用が必要です。

それぞれメリット・デメリットをよく考えて実施することが大切ですが、いずれの手法を取る場合でも注意したいポイントがあります。

信頼性の高い情報を提供する

とても重要となってくるのが、情報の信頼性です。

A社のゲーム機の例では、比較検討層の顧客が性能を調べるために、A社が公開していた性能や他社ゲーム機との性能の違いを調査したホワイトペーパーを参考にしました。

ですが、この情報に誇張や間違いがあれば顧客の信頼を失い、これらのマーケティングは台無しになってしまいます。

インバウンド・アウトバウンドに関わらず、商品やサービスが高額な場合や、大きな金額が動くBtoBビジネスにおいては、企業への親近感や信頼関係は重要です。

また、特にインバウンドマーケティングの場合は顧客が主体的に情報を求めているため、一度信頼感を覚えるとその後も長く関係を維持してもらいやすくなります。

信頼関係の構築には、オウンドメディアやSNSでは定期的に情報を配信し、セミナーや展示会などに参加してくれた顧客には、適切なアフターフォローを実施することが大切です。

それぞれの媒体に合ったアプローチをする

インバウンド・アウトバウンドでそれぞれいくつかの手法を紹介しましたが、それぞれの媒体の特性や、比較検討層の年代・性別・趣味・悩みに合わせたアプローチも大切です。

SNSであれば読みやすい内容にして、ユーザー同士でシェアしやすくします。ホワイトペーパーであれば短めの内容にまとめて、顧客にとって有益な情報がダイレクトに伝わるようにしましょう。

商品やサービスによってマーケティングの手法は異なりますが、比較検討層を顕在層に引きこむマーケティングの重要性は変わりありません。

誰でもスマホから簡単に情報を得られる現代において、顧客へのアプローチ方法は多種多様ですが、どんな方法でも信頼できる情報配信と媒体に合わせたアプローチが大切です。