株式会社サンケイエンジニアリングは、コンタクトプローブの設計・製造・販売を中核事業とする精密機器メーカーです。国内外の電気・電子部品メーカーと幅広く取引し、現在はカンボジアに現地法人を構えるなど、海外展開も積極的に推進しています。未知株式会社は、採用サイトのリニューアルおよび採用オウンドメディアの記事制作を一貫して担当いたしました。今回は代表取締役社長の笠原様に、取り組みを始めた背景から現在の活用状況、そして今後の展望についてお話を伺いました。(インタビュアー:未知株式会社 坂元)
坂元:
― 今回、採用サイトのリニューアルに加えて、オウンドメディアの制作もあわせてご依頼いただきました。採用課題の解決だけであれば、サイトのリニューアル単体でも対応できたかと思います。あえて採用オウンドメディアもセットにしようとお考えになった背景には、どのようなことがあったのでしょうか?
笠原:
至ってシンプルな理由です。一般的なサイトだけでは、会社の「色」を出すことが難しいんですよ。なんとなくイメージは表現できても、「この会社には、こういう魅力や文化があるんだ」と深く理解してもらうためには、より踏み込んだコンテンツが必要だと考えていました。
動画も作りましたし、採用サイトでの表現も試みましたが、会社の「魂」のようなものを伝えようとすると、リアルな「事例」に勝るものはありません。社員のストーリーや仕事のリアルを部分的にピックアップしながら継続的に伝えていくには、採用オウンドメディアという形式しかないだろうと、ご提案をいただく前からイメージしていました。
坂元:
― 「伝わりきっていない」という課題感が、取り組みの出発点にあったということでしょうか?
笠原:
間違いなくそうです。私たちが採用したい人がどこに存在しているのかを正確に把握するのは、非常に難しい。だからこそ、私たちのサイトやメディアをご覧いただいた方が「これだ」と感じてくれる確率をいかに高めるかが重要で、それが求職者との瞬間的な出会いの場になると認識していました。
今回未知さんに制作していただいた採用サイトはクオリティが高く、サイトというフォーマット上で表現できるものとしてはほぼ上限に近いと思っています。ただ、それでも伝えられているのは全体の5割程度。残りの5割をどう伝えるかとなると、採用オウンドメディアという手段しか思い浮かびませんでした。
採用サイトでインパクトを与えても、「刺さる」ところまで持っていくのはメディアの役割だと思っています。記事を通して、社員やプロジェクトに自分を重ねられるかどうかが、求職者が「身近に感じられるかどうか」を左右する。採用サイトだけでは、求職者との距離はなかなか縮まりません。記事を読むことで初めて「溶け込めそうな会社かどうか」が判断できる。それこそが、求職者にとって本当に必要な情報だと思っています。
坂元:
― パートナー選定にあたり、最終的に当社を選んでいただいた理由はどういったところにありましたか?
笠原:
一言で言うと「変なフレームワークを押し付けられなかった」という点が一番大きかったと思います。制作会社さんの中には、自分たちがこれまでやってきた型通りの提案をされるところも多い。でも未知さんは「カンボジアに一度来てください」「ちゃんと現場を見てから判断してください」という私の要求に、能動的に乗ってきてくれた。先入観を取っ払って向き合ってくれそうだという感覚が、決め手になったのだと思います。
坂元:
― カンボジアへ実際に赴いてプレゼンいただいたことが、発注の判断に大きく影響したのでしょうか?
笠原:
そうですね。オンラインのやり取りだけでは伝わらない部分もありますし、本当の意味で理解していただくには、現地・現物を実際に見ていただくしかない。そこで何を感じ取っていただけるかが全てだと思っています。好奇心や感性が不十分な会社に発注しても、良いものは生まれない。未知さんには、その感性があると確信したのです。
それに、私が表現してほしいと思っていることと、皆さんが表現したいと思っていることのオーバーラップの比率がとても高かったのです。多くのプレゼンは「出来は良いんだけど、どこか違う」と感じることが多いのですが、そういった乖離を感じませんでした。
坂元:
― 実際に記事が完成した際の、率直なご感想を教えてください。
笠原:
「よく表現できているな」と思いましたよ。社員の口から語られることで、サイトの文章を読むのとは全然違うリアル感が生まれますよね。採用サイトで「こういう会社かな」と思ったことが、記事を読むことで「なるほど、そういうことか」と理解できる。その橋渡しとしての機能を果たせていると感じています。
一方で、うちの会社は「納得感がないものは徹底的に作り直す」という姿勢を大切にしていまして、記事制作においても何度も試行錯誤を重ねました。半分まで進んでも「違う」と感じたら全部やり直す。コストがかかっても、中途半端なものをいくら積み重ねてもゼロはゼロですから。そのプロセスに根気強く付き合っていただけたことが、結果的に納得のいく仕上がりにつながったと思っています。
坂元:
― 今後は採用オウンドメディアの制作を社内で内製化していきたいとのお話でしたが、その理由についてお聞かせいただけますか?
笠原:
理由は二つあります。一つは、自社の文化や意図を外部に伝えきるには、どうしても相応のコストがかかるということ。もう一つは、自分たちで考えて書くことで、社内の理解が深まるという側面があるからです。外注してしまえば楽ではありますが、本当に表現できるかどうかは、ちゃんと理解していなければ不可能です。自社でコンテンツを生み出せる力を持つことは、組織の長期的な資産として非常に重要だと考えています。
ただ、質へのこだわりは変わりません。今も広報担当者が書いた案を見ながら「魂が込められていない」と突き返すことがあります(笑)。骨格となる部分はしっかり作ってもらったほうが良い。今回のプロジェクトはまさにその骨格を丁寧に作っていただいたという意味で、大きな価値がありました。内製化は築いていただいた土台を受け継ぎ、発展させていくものだと捉えています。
坂元:
― 今後、採用オウンドメディアをどのような方向性で育てていきたいとお考えですか?
笠原:
最近はAIが採用オウンドメディアのコンテンツを引用するケースが増えてきていますから、AIに拾われるコンテンツをきちんと発信していきたいと思っています。FacebookやInstagramなどのSNSも含めて総合的に活用しながら、AI検索で私たちの情報がしっかり出てくる状態を作り込んでいく。コンテンツがつまらなければ、AIもつまらない答えしか返せないでしょう。だからこそ、中途半端な発信ではなく、手間とコストをかけて密度の濃いものを積み上げていくことが重要だと思っています。
坂元:
― 本日は貴重なお話をありがとうございました。
