ブラックハットSEOが衰退した背景。 ホワイトハットSEOとの違いを解説

SEO対策と呼ばれる施策には、大きく「ブラックハットSEO」「ホワイトハットSEO」の2種類が存在します。ブラックSEOとは、検索エンジンのガイドラインに抵触する手法を用いたSEOのことです。インターネットが普及しはじめた1990年代後半の検索エンジンは、Webサイト内のキーワード含有率やリンク数が検索順位に大きく影響していました。当時は検索エンジンの精度も高くないため、ブラックハットSEOが有効とされていました。現在はSEOの効果は期待できませんし、非常に危険な行為です。 それでは、どのような行為がブラックSEOに該当するのでしょうか。本コラムでは、ブラックハットSEOの概要や衰退した背景、ホワイトハットSEOとの違いについてご紹介します。

そもそもブラックハットSEOとは?

ブラックハットSEOとは、検索エンジンのガイドラインで明記している禁止行為やアルゴリズムの穴を突いた手法などで、検索順位を上位表示させる取り組みのことです。検索エンジンから違反または悪質な行為であると判断されれば、下記のようなペナルティを受けかねません。

・検索エンジンの検索順位から圏外になる
・インデックスデータが削除される

Googleでは、アルゴリズムによる自動対応だけでなく、手動による対策も行われています。コンテンツをインデックスした直後は問題なくても、急に順位が大幅に下落したり、検索結果から削除されたりします。

SEOとは

SEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから訪問者を増やすために、Webぺージを最適化する施策のことです。

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ブラックハットSEOの具体的な手法

ブラックハットSEOの手法はさまざまです。ここでは代表的な手法をいくつか挙げています。

ワードサラダ(自動生成コンテンツ)

ワードサラダは、検索エンジンがコンテンツ内のキーワード含有率を評価することに着目した施策です。

狙ったキーワードを適度に含む記事を手作業で量産するのは、工数がかかります。そこで手軽にキーワードを多く含んだコンテンツを量産し、検索エンジンの上位表示を狙える手法として、活用されるようになったのがワードサラダです。

ワードサラダはプログラムを利用して、検索結果やWebサイト内の記事をもとに文章を自動生成します。そのため完成したコンテンツは文法としては正しいが、意味が破綻している文章が多いのが特徴です。

ワードサラダの例
サイトA「北海道旅行で初めて飛行機に乗った」
サイトB「隣町の有名なパン屋に行ってみた」

サイトA,Bから文章を抽出して、プログラムで文章を自動生成

生まれたワードサラダの例
「隣町旅行でパン屋に乗ってみた」
など

上記の例を見ると「○○で□□してみた」と一般的に多用される文法で文章が生成されています。しかし、文章の内容そのものは不自然な仕上がりとなっています。

自動生成によって文章の意味が破綻する理由は、抽出された文章がパーツ分けされたうえで、改めて組み立てられるためです。

ドアウェイページ(コピーコンテンツ)

ドアウェイページとは、特定のWebサイトへ誘導するために作成された、品質の低いWebサイトのことです。

誘導のみを目的としているため、コンテンツ内容は他社サイトの文章をコピーしたものや、自社サイトのコンテンツを一部のみ変更したものがほとんどといえます。

地名など一部の単語のみ変えた量産コンテンツ
コンテンツA「大阪市北区の訪問パソコン修理なら○○へ」
コンテンツB「大阪市中央区の訪問パソコン修理なら○○へ」
コンテンツC「大阪市淀川区の訪問パソコン修理なら○○へ」

現在も同様に、地名以外の文言が同じページを量産すると、ドアウェイページと判断されやすくなります。

また、一部のみ変更したり類義語に置き換えたりした程度の記事も、コピーコンテンツと判断されます。

「トラフィック獲得を目的とした既存ページの複製」や「ワードサラダなど自動生成されたコンテンツ」はドアウェイページに含まれます。

スパムコメント

スパムコメントは、ブログなどのWebページ内に一切関係のないコメントを残す行為のことです。特にブログは記事のコメント欄にWebサイトのURLを書き込めるケースが多く、自社サイトのURLを貼り付けて外部リンクを増やす目的でスパムコメントが行われていました。

ほかにも、自社サイトの宣伝に利用されるほか、マルウェア感染やアクセスユーザーの個人情報収集を目的とするスパムコメントも存在します。

基本的にスパムコメントはツールを使用して自動的に投稿していましたが、現在はWebサイトの運営元が専用ツールや設定機能でスパムコメント対策が行われています。

クローキング

クローキングとは、Webサイトにアクセスした訪問者を判別して、異なるコンテンツ内容を表示する手法のことです。ブラックハットSEOの場合は、訪問者を「人間」「検索エンジンのクローラー」に分けて、異なるコンテンツを表示します。

基本的にユーザーのアクセス経路やブラウザなどに合わせて、表示する内容を変えること自体に問題はありません。

例えば、同時期に複数種類の広告を出稿している場合、経由した広告ごとにユーザーの目的は異なります。アクセス元の広告に適した情報を提供することで、購入や資料請求などのコンバージョンにつながります。

ただし、クローキングがブラックハットSEOに該当するのは、ユーザー単位ではなく「人間」と「検索エンジンのクローラー」で分けている場合です。人間には通常のWebページを表示しつつ、検索エンジンのクローラーにはキーワードなど評価されやすい要素が豊富に含まれるページ情報を提供すれば、ブラックハットSEOとなります。

キーワード含有率が高いテキスト情報を検索エンジンのクローラーに表示させ、高く評価してもらい、検索順位の上昇を狙うことがクローキングの目的です。

隠しリンク・隠しテキスト

Webサイト内に手軽にリンクやキーワードを増やす手法として活用されていたのが、隠しリンク・隠しテキストです。

隠しリンクは、ユーザーには判別できないリンクのことです。下記の手法があげられます。

・画像の一部にリンクを貼る
・一文字のみリンクを貼る
・背景と同じ色のテキストリンクを貼る

ブラックハットSEOの手法として、被リンク数を増やす目的で活用されました。

ユーザーがブラウザ上では視認できませんが、クローラーからはリンクが認識される仕組みです。

現在は、種類や質が重視されるアルゴリズムに進化しています。単純にリンク数を増やすだけの隠しリンクは、通用しなくなりました。

隠しテキストも隠しリンクと同じく、ユーザーからは分かりにくい方法でテキストが表示されているのが特徴です。主に、下記の手法でページ上に設置されています。

・背景と同じ色で記載する
・フォントサイズを0にする
・フォントの不透明度を0にする
・画像の下に隠す
・画面の外に表示させる

色やフォント、不透明度でユーザーが判別できない設定に変えたり、見えない場所にテキストを配置したりする方法もあります。

CSSを利用すれば、画像の下に隠したり、画面の外に表示させたりできます。ブラックハットSEOが台頭していた当初は、隠しリンク・隠しテキストはある程度の効果が期待できました。現在は「Google検索の基本事項」に抵触します。

CSSとは

Cascading Style Sheetsの略称。Webページの文字の色や大きさ、背景、配置といったスタイルを設定する言語のこと

自演リンク

自演リンクは、Webサイトやページの被リンク数を増やす施策です。代表的なのは、リンクファーム(複数のWebサイトやページに相互リンクを貼る)やペイドリンク(専門業者などに料金を払ってリンクを貼ってもらう)があげられます。

リンクファームは被リンクを狙う企業や個人間で相互に設置するケースもあります。プログラムによる自動生成や、数千規模のリンク集の作成も、リンクファームに含まれます。

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ブラックハットSEOが衰退した2つのアップデート

多くの業者や個人がブラックハットSEOを行った結果、検索順位の上位に表示されるWebページは、必ずしも高品質なものとは限らなくなりました。

検索結果が満足のいくものでなければ、ユーザーはほかの検索エンジンへ流出してしまいます。ユーザー数が減ればリスティング広告などの収益にも影響するため、検索エンジンは早急にブラックハットSEOへの対策を行わなくてはなりませんでした。

ユーザビリティの低下およびユーザー流出を招く状況に対して、Googleが行ったのがアルゴリズムのアップデートです。ブラックハットSEOを衰退させたGoogleによるアルゴリズムのアップデートは、次の2種類があげられます。

1.ペンギンアップデート

ペンギンアップデートは、被リンクを不正に増やす手法への対策として行われました。

リンクファームなどのように関連性のないWebページ同士の過剰リンクや、有料で外部リンクを購入するペイドリンクなど、自作自演リンクを取り締まることが目的です。

ペンギンアップデートにより、プログラムを利用してリンクを大量に張り付けたWebサイトや、悪質な業者のサテライトサイトからリンクを集めたサイトが検索上位を占めるリスクが軽減されました。

2.パンダアップデート

パンダアップデートは、他社サイトのコンテンツをコピーしたり、ユーザーにとっての有益性が低かったりする低品質なWebサイトへの対策として行われました。

パンダアップデートによってペナルティを受けるのは、ワードサラダなどプログラムで作成した低品質なWebサイトや、コピーコンテンツを量産していたWebサイトです。

不正な被リンクを行っていたWebサイトがペンギンアップデートで上位表示しにくくなったケースと同じく、パンダアップデートで取り締まりの対象となったWebサイトも、検索上位から姿を消しました。

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ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの違い

ブラックハットSEOとホワイトハットSEOは、手法やペナルティリスクが違いつつも、どちらも検索エンジンのアルゴリズムを意識した施策です。

ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの違いをあらわす要素として「Google検索の基本事項」と「ユーザー」の2つがあげられます。

違い1:「Google検索の基本事項」に抵触していないかどうか

SEOを行ううえで重視しなくてはならないのが、検索エンジンが公式に発表している「Google検索の基本事項」です。

2023年5月現在、日本国内における検索エンジンシェア率はGoogleがもっとも高く、全体の76.81%を占めています。

出典:Statcounter「Search Engine Market Share Japan Feb 2022 – Feb 2023

そのため、SEOでは「Google検索の基本事項」に準拠した手法を選ぶ必要があります。しかし、ブラックハットSEOは各種ガイドラインに抵触します。不正な手法であるブラックハットSEOに対して、「Google検索の基本事項」に則った手法がホワイトハットSEOです。

ブラックハットSEOよりも上位表示に時間を要しますが、ペナルティを受ける心配がありません

違い2:検索エンジンだけでなく、ユーザーにも有益かどうか

ブラックハットSEOは、検索エンジンのクローラー(ロボット)のみを意識しており、ホワイトハットSEOは、クローラーだけでなくユーザーへの評価にも重点を置いてます。

ユーザーからすると、必ずしも有益なコンテンツとは限らないのがブラックハットSEOです。知りたいことに関する情報がなかったり、支離滅裂な文章が並んでいたり、怪しいWebサイトへのリンクが張られていたりと、ストレスを与えかねません。

一方のホワイトハットSEOは、ユーザー目線でWebサイトの構造やコンテンツそのものの質を向上させる手法です。ブラックハットSEOに比べると手間がかかりますが、ユーザーや検索エンジンから高い信頼を得られます。

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ホワイトハットSEOでアクセスを集める手法

堅実かつ長期的にアクセスを集められるように、ホワイトハットSEOを意識した施策が不可欠です。

ここでは、ホワイトハットSEOの主な手法を3つ紹介します。

1.ユーザーにも有益なコンテンツをサイト内に増やす

SEO施策といっても、検索エンジンのみを意識したコンテンツ作りは避けましょう。

Webサイトおよびコンテンツを作成する目的は、あくまでユーザーへの認知拡大や集客です。検索エンジンの上位表示を目指すのは、プロセスのひとつに過ぎません。

ユーザーにとって有益なコンテンツを増やせば、現在は検索エンジンからの評価にも良い影響を与えます。

たとえば、ユーザー目線でコーポレートサイトを見ると、「いつの情報か分からない」「何の事業をしている会社なのか分からない」「ページ間の移動がスムーズではない」など、問題点がいくつも見えてくるのではないでしょうか。

古い情報はこまめに新しい情報に更新したり、内部リンクで関連性のあるコンテンツに移動しやすくするなど、ユーザーの利便性を向上する施策が必要です。

ユーザーに有益なコンテンツは、自然と「Gllgle検索の基本事項」に沿った高品質な内容に仕上がります。ユーザーの滞在時間が伸びるなど、集客力向上にもつながります。

2.競合よりも専門性などで差別化したコンテンツを増やす

似たような商品やサービスを取り扱っている場合、競合サイトとコンテンツの内容が重複しやすくなります。

「Gllgle検索の基本事項」では、コンテンツ作りにおける重要な要素として、オリジナリティもあげられています。競合と似通ったコンテンツでは、上位表示を狙うのは困難です。

差別化をはかるために、独自のアンケート調査結果を掲載するなどコンテンツにオリジナリティを加えましょう。
専門性の高いコンテンツでは、専門家に執筆や監修を依頼する方法も、プロならではの情報を加えられるため効果的です。

競合との差別化をはかるほか、オリジナリティは外部リンクの取得も期待できます。たとえば独自の調査結果を掲載すれば、競合や関連性の高いWebサイトから「引用元」として外部リンクを張ってもらえます。

オリジナル要素があり、多くの外部リンクを自然な形で集められれば、高品質なコンテンツとして検索上位を狙えます。

3.紹介したくなるコンテンツで自然にリンクを集める

ユーザーからのリンクが自然に集まるように「面白いからみんなに見てもらいたい」「参考になるから紹介したい」と思ってもらえるコンテンツ作りを心掛けましょう。

独自のコンテンツが多かったり、専門家が興味をもつレベルで詳しく解説されていたりと、丁寧に作成されたWebサイトであれば、自然にドメインパワーの高い外部サイトからの被リンクを得られます。

ドメインパワーとは、各Webサイトのドメインがもつ検索エンジンからの評価を数値化したものです。
ドメインパワーが高いWebサイトは検索エンジンから「ユーザーにとって有益である」「高品質である」など評価されており、上位表示されやすくなっています。

検索エンジンから評価されているWebサイトからの被リンクを得られれば、間接的に自社サイトのドメインパワーや検索順位にも良い影響が期待できます。

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まとめ

SEOが意識されはじめた当初は、ブラックハットSEOと呼ばれる手法が台頭していました。現在はアルゴリズムの高精度化が進んでおり、ブラックハットSEOのような小手先の施策は通用しません。検索順位を上げるためには、ホワイトハットSEOでコンテンツの質を向上させる必要があります。